終末期ケアにおける僧侶の役割
人生の終末期、変化が訪れる中で支えが必要となる場面があります。そこに、寺院や僧侶という存在が果たせる役割があります。
遺される方やその家族が抱える不安・恐れ・葛藤に対して、僧侶は「ここにいる」という安心を届ける“場”となり得ます。
“いのち”と向き合う支援の視点
仏教では生・老・病・死という人が避けられないプロセスを大切に捉えます。この視点を支援の場に持つことで、終末期にある方の「これからの時間」を共に感じる関わりが生まれます。
僧侶が話を聴き、言葉を超えた存在の支えとなることは、専門サービスでは届きにくい部分を補うことになります。
宗教的ケアとスピリチュアルケア
僧侶の関わりには宗教的な儀礼や法話だけでなく、信仰を持たない方、特定宗教を持たない方にも関わるスピリチュアルケアの側面があります。
静かな時間をともに過ごす、祈りや手を合わせる、人生を振り返る機会を設ける。このような関わりが“魂の安心”につながることがあります。
家族と支援者を支える関わり
終末期の支援はその本人だけではなく、その家族・支援者も深い思いと向き合います。僧侶は「ありがとう」「ごめんね」といった言葉が交わされる前後の心の動きを見守る存在になり得ます。
また、支援の現場で働く方も孤立しがちです。気持ちを分かち合える場として、かいご姉妹サロンの「ひみつのお手紙(DM)」を活用するのもひとつの方法です。
チームケアの一員としての寺院・僧侶
終末期ケアは医療・看護・介護・福祉・住まいなど多職種が関わるチームケアです。僧侶がその中に加わることで、心のケア・スピリチュアルな支え・文化的・宗教的背景に配慮した支援が可能になります。
“宗教を押しつけない”姿勢を保ちながら、支援の場に自然に溶け込むことで、より包括的なケアが実現します。
現場で意識したいポイント
① 利用される方の価値観・信条を尊重する ② 「かかわり続ける」ことを意識する ③ 変化や終わりを前提にした支え方をもつ ④ 自分自身の気持ちをケアする、という点です。
これらを意識することで、終末期という時間をともに支える関わりが、より深い意味をもってきます。
尊厳をもって見送る支援へ
終末期は「何かをやり終える」場面ではなく、「どう在るか」を問われる時間かもしれません。僧侶の関わりは、その問いに応えるひとつの手立てです。
そして、ひとりで抱え込まず、つながりを活かしながら、尊厳をもってその人の最期を支える関係性を育んでいきましょう。

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